さらに続き。短編集なので、一度に3つ見ていくって感じで…
(7) 海馬洗頭 (監督・陳玉勳)
あらすじ:派手な服を着た中年女性が、寂れた裏道を進む。あたりには「洗髪→」といった看板。団地の中、食卓に一人の男が座っている。食事には手をつけている様子がない。女はいう。「洗髪をお願い」。男は無反応。部屋には水槽がありタツノオトシゴが入っている。女がそれを覗き込むと、水槽の横のドアが当いて老人がでてくる。「劉さん、予約は?」「記憶を洗い流せると聞いたのだけど」「ああ。失った記憶を取り戻すこともできる。どちらも1万台湾元」「難しいの?」「こっちで座って」老人が説明を始める。
「誰かの記憶を頭から消すこともできる?」「もちろん」「悲しい記憶だけなくすことも?」「ええ」女はある男の記憶を消すことを頼む。「消したい記憶を思い出して」老人に言われると、女は男との記憶を思い出す…女は男との口論のあと、殺してしまっていた。
遊ばれた記憶はなくし、いいことを言われたこと記憶だけを残す女。…施術が終わると女は、「今度は記憶を取り戻して欲しいの」「今なくしたばかりなのに!?」老人は驚き呆れた様子。「いいえ、私のじゃないの」女が持ってきたビニール袋を机に置くと、中には先ほど殺した男の首が。女は言う「彼のよ。彼が私との記憶、どんな風に思っていたか知りたいのよ」。水槽の中ではタツノオトシゴが静かに踊るように漂っている。
自分が大好きな映画の一つ「總舖師」の監督です。愛の記憶を消すとなると、ジム・キャリーのEternal Sunshine of the Spotless Mindなどを思い出してしまいますが(これもいい映画なのでみましょう)、陳玉勳だけあって同じギミックつかって、非常にうまくコミカルかつ情感豊かに短編な仕上げています。台湾らしい生活感ある風景をこれだけポップに撮影できる目があり、登場人物は謎めいていてコミカルでありながら、ちょっと胸にじんとこさせる部分もある、さすが總舖師の陳玉勳といった感じの良作でした。
これ、長編や連作にもなりそうなテーマなので、深夜ドラマでワンクール、いろいろ見てみたいなぁと思わされます。
あと、知らないと思われるのもなんなで、海馬=たつのおとしご=脳のパーツといったタイトルってことです。
(8) 諸神的黃昏 (監督・張艾嘉)
あらすじ:ずっと一緒にいるといったのに…囚人らしい男の独白から始まる。20歳の死刑囚と面接しているソーシャル・ワーカーの男。彼に何ができるという自問自答をしている。「なにか何か信じている宗教はあるかい?なんでも?」「家では仏教だった…」ソーシャルワーカーは仏典を共に読んだりして死刑囚の心を安らげる道を探す。なぜこうなったのだろう?誰もが自分では扱いきれないような間違いを犯すことがありえるから?家族や社会が十分暖かくない?いまだ死を恐る死刑囚の若者。「もし死刑になれば、自分のような人間でも魂を取り戻せるの?」 ある日、若者は言う。「昨日、仏様が自分に話しかけてきた。彼女は雲の向こうに自分の場所も用意してくれてる。冬が終われば、彼女はそこで待っていてくれるって」死刑は執行され、彼に殺された被害者の女の子の家族に、彼の描いた絵を届けるソーシャルワーカー。仏画のような女性の絵。ソーシャルワーカーは暖かい春の到来を願う。
張艾嘉は自分はよく知らないのですが、女優兼監督だそうです。なんかよくわからんが内容が浅い短編だったくらいの印象。
(9) 無國籍公民 (監督・朱延平)
あらすじ:みすぼらしい女。違法移民らしい。知恵遅れか。売春で金を稼いでいるらしい。金の支払いを渋る男から金をもぎ取ると、男は物取りにあったと騒ぎ始める。女は逃げていく。屋台で食事をした後、おなじようなホームレスの老人に食事を持っていく。老人は国民党につれられて台湾に来た老兵らしい。そのとき、男に呼ばれたのか警官たちが女を追いかけにきた。逃げ回った結果、女は線路で電車に引かれて死んでしまう。
この人もキャリアが長い人みたいです。大宅們撮った人か(これは、あまりいいところがない映画でした。適当に時間うめるのに四苦八苦してつまらないネットでみんな知ってるようなアメリカン・ジョークとか詰め込んでて、98分だけなのにそんなことしないと時間が持たないとか、最初から脚本練り直せと言いたかった)。
で、大宅們は単なる失敗作のコメディだったわけですが、これは社会的なテーマ扱いたいらしく、知恵遅の売春婦と老兵の関係で、大陸を追われて台湾に来た今の老兵たちと、違法移民を重ねていく、そのうえで「タイやビルマからの違法移民に合法的な滞在の権利が最近の法改正で与えられたが、社会保険などの問題が残っている」的な文言が流れて終わる。
なんか言いたいことはわかるが、違法移民と国民党老兵重ねちゃうのってなんだかわけがわからないというか、別物じゃないだろうか?という違和感が流れる。違法移民の権利などを主張したいならわかるが、国民党老兵って別に違法でもなければ、自分たちの考えで台湾に来たわけでもない。なんだか考えが浅さが透けて見え、単にあんまり考えず気分で作られた映画なんじゃないの?って思わされた。
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