Ola Bola (監督:Chiu Keng Guan)
あらすじ:1970年代後半、サッカー・マレーシア代表は、ナショナル・チームとはいえ一般の仕事で働きながら参加している選手ばかりだった。 それはTaukeこと(”ボス”のような意味)キャプテンのChow Kwok Keongでも同じことだった。この英国のフットボールチームから誘いがあったほどの選手であっても。この、中国人・インド人・マレー人というマレーシアらしい多民族編成のチームに、ある日、白人の監督がやってきて、チームを大きく作り直し始め、控えメンバーの抜擢やポジションの変更など様々な改革を行う。当然、キャプテンや既存メンバーは面白くなく、監督の指示を聞かずにちぐはぐなプレーで連敗を重ねる。Taukeはそういった監督と対立し、チームを離れてしまう。だが、キーパーや他のメンバーの問題、家族の思いを知るにつけ、同じ失敗を繰り返さず、チームのためオリンピック出場のために戦い、チームの中の一人のサッカー選手として勝利に貢献するべきであるという考えを強く持つようになる。多民族のチームは一つになり、Tauke復帰後は連戦連勝。ついにこの韓国戦に勝てばオリンピックという前日、マレーシア政府からの通達でモスクワオリピックのボイコットが決まる。チームには知らせずピッチにたつTauke。しかし韓国選手の挑発的な一言で、選手たいは勝ってもオリンピックに出れないことをしってしまう。だが、マレーシア人としての誇り、勝利の意味を自らに問い直し、選手たちはピッチへ戻り勝利するのであった。オリンピックには出れずとも、全力を尽くし勝つということ自体が母国マレーシアへの愛であるからだ。
マレーシアでは有名なヒット作を連発してる監督らしいのですが、知らないでみました。
結論からいうと非常にいい映画で、作品としてはKANOのようなものに近い、実話に基づく多民族のチームを通して、自分たちの国への愛を表現した作品です。
歴史というものが問題となり、娯楽作品が作られる時、多民族国家や政治的・社会的な変動や成長があるアジアの多くの国ではその理由はかなり切実であり、アメリカやヨーロッパのように単純に歴史を切り取り見せるだけでは足りない、というのはあると思います。
この映画も、現在に生きる若い女性が過去の出来事をジャーナリストとして調べていくという形で現在との視点を行ききまします。正直、あまりうまいとは言えない形で、映画としての流れを崩してしまっている・誇張に流れている点は否めませんが、それは減点法での映画の見方であって、あまり気にする部分ではないと思っていい。マレーシア人にはあまり気にならないはずというか、こういう現在を生きるキャラクターがいなければ、物語に入り込みづらいというのがあるのかもしれない。
この映画は単純に役者の顔つきが美しく、また演技も良い。古き良きマレーの風景や人々のあり方がとくに上手く描かれている。
現在のような経済発展で2020年には先進国入りしようかとするマレーシアの現状から見た場合、非常に美しく多民族が一丸となって世界と戦った過去を見た場合、マレーシア人からは大きな郷愁があるのではないだろうか。
マレーシアの今年を代表する国民的映画であることは間違いがない。この映画は劇場で見るべきです。
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